N-BOXのエンジンがかからない?8つの原因と対処法を解説

N-BOXのエンジンが突然かからなくなり、お困りではないでしょうか。通勤や買い物の前など、急いでいる時に限って車が動かないと、大変焦りますよね。エンジンがかからない原因はさまざまで、単純な操作ミスから部品の故障まで幅広く考えられます。
例えば、バッテリー上がりやスマートキーの電池切れといった基本的な問題から、エンジン周辺から聞こえるカチカチという変な音、ピーピーという警告音、さらにはセル回らないといった深刻そうな症状まで、状況は多岐にわたります。
また、ブレーキが重い、踏めないといった普段と違う感覚が伴うこともあります。時にはヒューズが切れていたり、ごく稀にリコールが関連していたりするケースも存在します。
この記事では、「N-BOXのエンジンがかからない」というトラブルに直面したあなたが、落ち着いて原因を特定し、適切に対処できるよう、考えられる原因とその解決策を網羅的に解説していきます。
- エンジンがかからない主な原因を特定できる
- 自分でできる簡単な対処法がわかる
- 修理が必要な場合の判断基準が明確になる
- 今後のトラブルを予防するための知識が身につく
N-BOXのエンジンがかからない時に考えられる主な原因

ここでは、N-BOXのエンジンがかからなくなる際に、特に頻度が高いと考えられる主な原因について解説します。ご自身の車の状況と照らし合わせながら、原因の切り分けにお役立てください。
- バッテリー上がりの症状と確認方法
- スマートキーの電池切れや不具合
- ピーピーという警告音が鳴る理由
- エンジンからカチカチと変な音がする
- そもそもセル回らない時のチェック項目
- ブレーキが重い・踏めない場合の対処法
バッテリー上がりの症状と確認方法
N-BOXのエンジンがかからない原因として、最も一般的に考えられるのがバッテリー上がりです。バッテリーはエンジンを始動させるだけでなく、ヘッドライトやカーナビなどの電装品に電力を供給する重要な部品になります。
バッテリーの電力が不足すると、エンジンを始動させるためのセルモーターを十分に回すことができなくなります。症状としては、キーを回したりプッシュスタートボタンを押したりしても、エンジンが「キュルキュル」とかすかに回る音がするだけで力強さがない、あるいは全く反応しないといった状態が挙げられます。
また、室内灯やヘッドライトが普段より暗い、メーターパネルの表示が消えかかっている、パワーウィンドウの動きが遅いなどの兆候が見られる場合も、バッテリー上がりの可能性が高いと考えられます。
ご自身で確認する方法としては、市販の電圧チェッカーを使用するのが確実です。正常なバッテリーであれば、エンジン停止時で12.5V以上の電圧があります。もし12Vを下回っているようであれば、電力不足の状態と言えます。このような機器がない場合は、ロードサービスや整備工場に点検を依頼するのが賢明でしょう。
スマートキーの電池切れや不具合
近年のN-BOXは、鍵をポケットやバッグに入れたままエンジンを始動できるスマートキーが主流です。このスマートキーが正常に作動しないことも、エンジンがかからない原因の一つとして挙げられます。
スマートキーは内部の電池を使って車と微弱な電波で通信しており、電池が切れると車がキーを認識できなくなります。その結果、プッシュスタートボタンを押しても無反応だったり、メーターに鍵のマークの警告灯が表示されたりします。
まずは、スマートキーに内蔵されているメカニカルキー(物理的な鍵)を使ってドアの施錠・解錠ができるか試してみてください。もしメカニカルキーでドアが開けられるなら、スマートキーの電池切れの可能性が高いです。電池交換は比較的簡単に行えますが、ご自身での作業に不安がある場合はディーラーやカー用品店に依頼することもできます。
また、強い電波を発するテレビ塔や発電所の近く、あるいは他のスマートキーやスマートフォンと一緒に保管している場合、電波干渉によって一時的にキーが認識されにくくなることがあります。場所を少し移動したり、キーを他の電子機器から離したりして再度試してみると、改善するかもしれません。
ピーピーという警告音が鳴る理由
エンジンをかけようとした際に「ピーピー」という電子音が鳴り続ける場合、車が何らかの異常や注意点をドライバーに伝えようとしています。この警告音は、深刻な故障から単純な操作ミスまで、さまざまな原因を示唆するため、音だけで判断するのは難しいです。
多くの場合、警告音と同時にメーターパネル内の警告灯が点灯します。例えば、半ドアやトランクが完全に閉まっていない、運転席のシートベルトが装着されていない、スマートキーが車内にないといった、基本的な操作ミスを知らせているケースが考えられます。
まずは、ドアやトランクが全て閉まっているか、シフトレバーが「P(パーキング)」に入っているか、シートベルトは装着されているかなど、基本的な項目を一つひとつ確認してください。
これらの操作に問題がないにもかかわらず警告音が鳴りやまない場合は、エンジンシステムやブレーキシステムなど、何らかの電子制御系統に異常が発生している可能性があります。このようなケースでは、個人での対処は困難なため、速やかにディーラーや整備工場に連絡し、専門家による診断を受けることが大切です。
エンジンからカチカチと変な音がする
プッシュスタートボタンを押した際、エンジンルームの方から「カチカチカチ…」という連続した音が聞こえるだけでエンジンがかからないことがあります。この異音は、原因を特定する上で非常に重要な手がかりとなります。
この「カチカチ」音の正体は、多くの場合、セルモーター(スターターモーター)を作動させようとするリレーの作動音です。エンジンを始動させるには大きな電力が必要ですが、バッテリーの電力が著しく不足していると、セルモーターを回すには至らず、リレーがON/OFFを繰り返す音だけが聞こえるのです。
したがって、この症状はバッテリー上がりの末期状態である可能性が高いと言えます。前述の通り、室内灯やヘッドライトが点灯するかどうかを確認し、暗いようであればバッテリー上がりを疑いましょう。
一方で、バッテリーには問題がないのに「カチッ」と一度だけ音がして、その後は無反応という場合は、セルモーター自体の故障が考えられます。セルモーターが故障すると、バッテリーから正常に電力が供給されていても、モーターが回転せずにエンジンを始動させることができません。この場合は部品の交換が必要になるため、専門業者への修理依頼が必須です。
そもそもセル回らない時のチェック項目
キーを回しても、あるいはプッシュスタートボタンを押しても「シーン」としてしまい、セルモーターが回る音(キュルキュル音)が全くしない場合、考えられる原因は多岐にわたります。
まず疑うべきは、前述の通りバッテリーが完全に上がってしまっている状態です。この場合、メーターパネルのランプ類も一切点灯しないことが多いです。
もしライト類は点灯するのにセルが回らないのであれば、他の原因を考える必要があります。例えば、ブレーキペダルを踏みながらでないとエンジンがかからない車種で、ブレーキペダルを踏む力が足りない、あるいはブレーキランプスイッチが故障しているケースです。ブレーキランプが点灯するかどうかを確認するのも一つの方法になります。
その他、AT車であればシフトポジションが「P(パーキング)」または「N(ニュートラル)」に入っていないと、安全装置が働いてセルが回りません。うっかり他のレンジに入れたままになっていないか確認しましょう。
これらの基本的な確認を行っても状況が改善しない場合は、セルモーター本体の故障や、エンジン始動に関わる配線系統の断線、ヒューズ切れなどが考えられます。
ブレーキが重い・踏めない場合の対処法
エンジンがかからない時に、同時にブレーキペダルが「重い」「固くて踏めない」と感じることがあります。これは故障ではなく、多くの場合、正常な状態ですので慌てる必要はありません。
自動車のブレーキには、ドライバーがペダルを踏む力を補助する「ブレーキブースター(倍力装置)」という仕組みが備わっています。この装置はエンジンの負圧を利用して作動するため、エンジンが停止している状態では機能しません。
したがって、エンジンがかかっていない状態でブレーキペダルを何度か踏むと、装置内に残っていた負圧が使い果たされ、ペダルが本来の重さになります。これが「ブレーキが重い、踏めない」と感じる原因です。
これはエンジンがかからない直接の原因ではなく、エンジンが停止していることによる副次的な症状と言えます。エンジンが正常に始動すればブレーキの重さは元に戻ります。ただし、プッシュスタート式の車では、ブレーキペダルをしっかりと踏み込まないとエンジンがかからない設計になっているため、このペダルの重さがエンジン始動の妨げになることもあり得ます。その場合は、渾身の力でブレーキペダルを奥まで踏み込みながら、再度スタートボタンを押してみてください。
N-BOXでエンジンがかからない時に試すべきその他の対処法

基本的な原因に当てはまらない場合や、さらに踏み込んだ確認を行いたい場合は、こちらで解説する項目をチェックしてみてください。単純な見落としから専門的な確認まで、さまざまな対処法を紹介します。
- ハンドルロックやシフトポジションの確認
- エンジンがかからないのはヒューズが原因?
- 該当するリコール情報がないか確認する
- JAFやロードサービスを呼ぶ前に試すこと
- ガス欠や電気系統のトラブルも疑う
- まとめ:N-BOXでエンジンがかからない時の対処法
ハンドルロックやシフトポジションの確認
エンジンがかからない原因の中には、故障ではなく、車両の基本的な安全装置の作動や、単純な操作ミスが隠れていることがあります。専門業者を呼ぶ前に、一度ご自身で確認してみてください。
ハンドルロック(ステアリングロック)
ハンドルロックは、エンジン停止後にハンドルを動かすことで作動する盗難防止機能の一つです。この機能が作動していると、キーを差し込んだりプッシュスタートボタンを押したりしても、エンジンをかけることができません。
ハンドルが左右どちらかにロックされて動かせない状態になっていたら、ハンドルを左右どちらかに少し力を加えながら回そうとし、同時にエンジンスイッチを操作(キーを回す、またはスタートボタンを押す)してみてください。これにより、ロックが解除されてエンジンを始動させることができます。
シフトポジション
オートマチック車は、安全上の理由から、シフトレバーが「P(パーキング)」または「N(ニュートラル)」の位置にないとエンジンがかからないように設計されています。
エンジンを切る際に、慌てていて「D(ドライブ)」や「R(リバース)」のままにしてしまっているケースは意外と少なくありません。
メーターパネルのシフトインジケーターを確認し、もし「P」以外の位置にあれば、しっかりとブレーキペダルを踏みながらシフトレバーを「P」の位置に戻してから、再度エンジン始動を試みてください。
エンジンがかからないのはヒューズが原因?
ヒューズは、車に搭載された電装品に規定以上の電流が流れた際に、自らが切れることで高価な電子部品を保護する役割を持っています。何らかの理由でエンジン始動に関連するヒューズが切れてしまうと、エンジンがかからなくなることがあります。
N-BOXのヒューズボックスは、一般的に運転席の足元付近やエンジンルーム内に設置されています。取扱説明書で正確な位置を確認し、カバーを外して中を点検します。ヒューズは色とアンペア(A)数で分類されており、一つひとつ引き抜いて内部の金属部分が切れていないかを目視で確認します。
もし切れているヒューズを見つけた場合は、必ず同じアンペア数の新しいヒューズと交換する必要があります。異なるアンペア数のものを使用すると、車両火災などの重大なトラブルを引き起こす危険があるため、絶対にやめてください。
ただし、ヒューズが切れたということは、その先に何らかの電気的な異常がある証拠です。ヒューズを交換してもすぐにまた切れてしまう場合は、根本的な原因(配線のショートなど)を突き止めて修理する必要があるため、専門家による点検が不可欠となります。
該当するリコール情報がないか確認する
可能性は低いものの、お乗りのN-BOXがリコールの対象となっており、その内容がエンジン始動に関連しているケースも考えられます。リコールとは、自動車の設計や製造過程に問題が見つかった場合に、メーカーがその旨を公表し、無料で修理を行う制度です。
ご自身の車がリコール対象かどうかは、国土交通省のウェブサイトや、ホンダの公式ウェブサイトで確認することができます。確認には、車検証に記載されている「車台番号」が必要になりますので、事前に準備しておくとスムーズです。
もしリコール対象であり、まだ修理を受けていない場合は、それがエンジン不調の原因である可能性も否定できません。ウェブサイトで確認するか、直接お近くのホンダディーラーに問い合わせてみましょう。リコールに該当していた場合は、ディーラーにて無償で点検・修理を受けることができます。
JAFやロードサービスを呼ぶ前に試すこと
あらゆるセルフチェックを試みてもエンジンがかからない場合、JAF(日本自動車連盟)や、ご加入の自動車保険に付帯するロードサービスに救援を依頼することになります。しかし、連絡する前に最終確認しておくべき点がいくつかあります。
一つ目は、単純なガス欠です。燃料計の針が「E」を指していないか、航続可能距離が「—km」になっていないかを確認しましょう。意外と見落としがちなポイントです。
二つ目は、これまで解説してきた基本的なチェック項目の再確認です。バッテリー、スマートキーの電池、シフトポジション、ハンドルロックなど、焦っていると見逃してしまう可能性があります。落ち着いてもう一度、一つずつ確認作業を行うことが大切です。
これらのセルフチェックを行っても原因が不明な場合に、初めてロードサービスに連絡するのが効率的です。連絡する際は、「いつから、どのような状況でエンジンがかからなくなったか」「異音や異臭、警告灯の表示はあるか」といった情報をできるだけ正確に伝えることで、隊員が現場に到着してからの作業がスムーズに進みます。
ガス欠や電気系統のトラブルも疑う
これまで挙げてきた原因以外にも、エンジンがかからない理由は存在します。その一つが、先ほども触れた単純なガス欠です。燃料計が故障していると、メーター上は燃料が残っているように見えても、実際にはタンクが空になっていることもあります。最後に給油したのがいつだったか思い出してみるのも一つの手です。
さらに専門的な領域になると、燃料をエンジンに送り込む燃料ポンプの故障や、点火プラグ、イグニッションコイルといった点火系統の不具合が考えられます。これらの部品が劣化・故障すると、燃料や火花が正常に供給されず、エンジンは始動しません。
また、発電機であるオルタネーター(ダイナモ)が故障している場合も、バッテリーが充電されずに結果としてバッテリー上がりを引き起こし、エンジンがかからなくなります。エンジンがかかっている最中にバッテリー警告灯が点灯したことがある場合は、オルタネーターの不具合が疑われます。
これらの燃料系統、点火系統、充電系統のトラブルは、専門的な知識と工具がなければ診断や修理が困難です。セルフチェックで原因が特定できない場合は、無理せずプロに任せるのが最善の選択と言えるでしょう。
まとめ:N-BOXでエンジンがかからない時の対処法
この記事では、N-BOXのエンジンがかからない場合に考えられる様々な原因と、ご自身でできる対処法について解説しました。最後に、重要なポイントを改めてまとめます。
- エンジン不動時は慌てず落ち着いて状況を確認する
- 最も多い原因はバッテリー上がり
- ライトの明るさやメーター表示でバッテリーの状態を推測できる
- スマートキーの電池切れも頻度の高い原因
- メカニカルキーでドアが開くか試す
- 「ピーピー」音は警告灯と合わせて確認する
- 「カチカチ」という音はバッテリー電力不足のサイン
- セルモーター自体の故障も考えられる
- セルが全く回らない場合はシフト位置やブレーキスイッチも確認する
- エンジン停止中のブレーキペダルの重さは正常な状態
- ハンドルロックはハンドルを動かしながら解除する
- ヒューズ切れは交換で直ることもあるが根本原因の調査が必要
- リコール情報はお乗りの車の車台番号で確認できる
- ロードサービスを呼ぶ前にガス欠や基本操作を再チェックする
- 原因不明の場合は無理せず専門業者に診断を依頼する










